海外

2021.11.04

エチオピアの危険情報【一部地域の危険レベル引き上げ】

危険レベル・ポイント

【危険度】
●エリトリア及びソマリアとの国境地帯、ティグライ州、アムハラ州の一部(ティグライ州との州境地帯)、アファール州の一部(ティグライ州との州境地帯)、オロミア州東西ウェレガ地区及びケレム・ウェレガ地区、ベニシャングル・グムズ州カマシ地区及びメテケル地区
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)

●アムハラ州ワグ・ヒメラ地区、北ウォロ地区、南ウォロ地区、オロミアゾーン地区、アルゴバ地区、北シェワ地区、アファール州フェンティ地区、アウシ地区、ギルバティ地区
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(引き上げ)

●ガンベラ州の南スーダンとの国境地帯、ソマリ州(ソマリアとの国境地帯、ジジガ市及びゴデ市を除く。)、アムハラ州南ゴンダール地区レイガイント郡及びファルタ郡、アファール州ゲビ地区、オロミア州イルバボール地区及びホロログドゥル・ウェレガ地区
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)

●アムハラ州(ティグライ州との州境地帯、ワグ・ヒメラ地区、北ウォロ地区、南ウォロ地区、オロミアゾーン地区、アルゴバ地区、北シェワ地区、南ゴンダール地区レイガイント郡及びファルタ郡を除く)、アファール州(フェンティ地区、ゲビ地区、アウシ地区、ギルバティ地区を除く)、オロミア州(東西ウェレガ地区、ケレム・ウェレガ地区、イルバボール地区、ホロログドゥル・ウェレガ地区を除く)、ガンベラ州(南スーダンとの国境地帯を除く)、ソマリ州(ジジガ市及びゴデ市)、南部諸民族州、ベニシャングル・グムズ州(カマシ地区及びメテケル地区を除く。)、アディスアベバ市、ディレダワ市、ハラール市
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(引き上げ)

詳細

【ポイント】
●2020年11月、ティグライ州においてティグライ人民解放戦線(TPLF)とエチオピア連邦政府国防軍の間で軍事衝突が発生しました。2021年6月、TPLFが州都メケレを奪還し、連邦政府が一方的人道的停戦を宣言した後も、各地で戦闘が継続しており、8月上旬に国防軍はTPLFへの攻撃を再開しています。さらに10月初旬、国防軍はアムハラ州において、TPLFに対する大規模な地上作戦や空爆により攻勢を強め、その後10月中旬、ティグライ州内への空爆を開始しました。
●2021年6月以降、TPLFはアムハラ州内、アファール州フェンティ地区及びアウシ地区に侵攻し、8月にはワグ・ヒメラ地区のラリベラにまで到達しました。これに伴い、アムハラ州は、TPLFに対し同州軍と国防軍による合同軍事作戦を実行することを発表し、それ以降同州内での軍事衝突が継続的に発生しています。10月以降、依然として国防軍とTPLFとの軍事衝突が各地で頻繁に発生し、同州内のTPLF勢力を標的とした国防軍による空爆が断続的に行われています。こうした空爆及び地上作戦が強化され、軍事衝突が激化する可能性があるため、アムハラ州東部のワグ・ヒメラ地区、北ウォロ地区、南ウォロ地区、オロミアゾーン地区、アルゴバ地区、北シェワ地区、アファール州フェンティ地区、アウシ地区、ギルバティ地区の危険レベルを3から4に引き上げます。これら地域への渡航はどのような目的であれ止めてください。また、既に滞在されている方は直ちに退避してください。
●2021年8月以降、アムハラ州北部の北ゴンダール地区に侵攻したTPLFと国防軍との激しい軍事衝突が頻繁に発生しています。10月以降、同地区において国防軍とTPLFとの衝突が断続的に発生し、10月20日にはTPLFによる砲撃が確認されています。今後、北部における衝突が波及し、軍事衝突が発生する可能性があります。よって、アムハラ州のワグ・ヒメラ地区、北ウォロ地区、南ウォロ地区、オロミアゾーン地区、アルゴバ地区、北シェワ地区を除く全ての地域の及び危険レベルを3に引き上げます。これら地域への渡航はどのような目的であれ止めてください。
●11月2日、エチオピア政府は、国内で行われているTPLFによる残虐行為から民間人を守ることが目的であるとして、国内全域を対象とした非常事態宣言を発令しました。今後、武力衝突が広範囲に及ぶ可能性が排除できず、非常事態宣言の発令により、国内全域において治安状態が悪化する恐れがあります。よって、アファール州(フェンティ地区、ゲビ地区、アウシ地区、ギルバティ地区を除く)、オロミア州(東西ウェレガ地区、ケレム・ウェレガ地区、イルバボール地区、ホロログドゥル・ウェレガ地区を除く)、ガンベラ州(南スーダンとの国境地帯を除く)、ソマリ州(ジジガ市及びゴデ市)、南部諸民族州、ベニシャングル・グムズ州(カマシ地区及びメテケル地区を除く。)、アディスアベバ市、ディレダワ市、ハラール市の危険レベルを3に引き上げます。これら地域への渡航はどのような目的であれ止めてください。
●当地の国境地帯は危険な場所や安全とはいえない場所がほとんどであり、地方の道路状況は整備不足から危険で死亡事故の発生が懸念されるため、隣接国との越境を含む、長距離の陸路移動はできるだけ控えてください。移動に際しては可能な限り空路を選び、陸路移動を少なくしてください。
●危険レベル3の地域に既に滞在中の方は、今後事態が急変する可能性があることを念頭に置き、商用便が運航されているうちに、商用便を利用した出国を検討することを強くお願いします。


1 概況
(1)エチオピアでは、2018年4月のアビィ首相就任以降、国民の支持を集めながら改革が進められていましたが、2020年11月にはティグライ州において旧支配層であるティグライ人民解放戦線(TPLF)と連邦政府との間で武力衝突が発生し、2021年7月以降周辺州へ拡大しています。民族主義や各地における武装勢力の台頭など、さまざまな問題も内包しており、現在、それらの問題が表面化し、各地で暴動や武力衝突が発生しています。
(2)民族間の緊張状態は依然解消されておらず、現在も各州の境界地帯では、武器等を使用する過激な民族間衝突が断続的に発生しています。また、全国的にアムハラ系民族に対する襲撃事件が頻繁に発生しているほか、エチオピア正教会及びイスラム教モスクへの襲撃事件も断続的に発生しています。
(3)エリトリアとの間では、長く国境問題等を抱え、20年間外交関係もありませんでしたが、2018年7月、アビィ首相がエリトリアを訪問して首脳会談が行われ、外交関係が再開されるなど、両国間関係は改善しつつあり、首都アディスアベバではエリトリア大使館が再開されました。一方で、エチオピア国民の一部にはこうした動きに反感を持つ者もおり、抗議行動も予想されることから、注意が必要です。
(4)ソマリアのイスラム過激派組織「アル・シャバーブ」(AS)は、過去にアディスアベバ市内で爆弾テロ事件を引き起こし、犯行声明を出したことがあるものの、エチオピア政府による国境警備等の強化もあり、ここ数年、同組織によるエチオピア国内での大規模なテロ事件の発生は確認されていません。しかし、2019年9月及び2020年11月には、アディスアベバを含む複数の州においてテロ攻撃の計画があったとして、国家情報機関(NISS)などが複数のテロリストの逮捕を発表しており、依然としてテロの危険性は排除されません。ASはエチオピアを攻撃対象国としており、常時、国内に潜入しテロ活動を行う可能性があることに留意する必要があります。
(5)エチオピアでは、2019年3月に車両襲撃事件により日本人1名を含む計5名が死亡するなど、外国人を標的とした襲撃事件や誘拐事件が散発的に発生しています。
このような状況を十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、海外安全ホームページや報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

2 地域別情勢
(1)エリトリア及びソマリアとの国境地帯、ティグライ州、アムハラ州の一部(ティグライ州との州境地帯)、アファール州の一部(ティグライ州との州境地帯)、オロミア州東西ウェレガ地区及びケレム・ウェレガ地区、ベニシャングル・グムズ州カマシ地区及びメテケル地区
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)

アムハラ州ワグ・ヒメラ地区、北ウォロ地区、南ウォロ地区、オロミアゾーン地区、アルゴバ地区、北シェワ地区、アファール州フェンティ地区、アウシ地区、ギルバティ地区
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(引き上げ)

ア エリトリアとの国境地帯
エリトリア兵とTPLF勢力が対峙している可能性があります。また、ゲリラ組織や盗賊といった武器を装備した集団が存在している可能性があります。2017年12月には、外国人旅行者を含む一般人が銃撃により殺害される事件も発生しています。
イ ソマリアとの国境地帯
軍、警察及び地元自警団の大規模な警戒や取締りにより、ASの攻撃や侵入が防がれている状態ですが、引き続きASやその他の反政府武装勢力等によるテロや誘拐事件の発生が強く懸念されます。なお、2008年には、ソマリア国内の犯罪集団がエチオピア側へ越境し、日本人を含む援助団体関係者をソマリア領内へ拉致する事件が発生しています(3か月間以上拘束された後、ソマリアで解放。)。
ウ ティグライ州、アムハラ州の一部(ティグライ州との州境地帯ワグ・ヒメラ地区、北ウォロ地区、南ウォロ地区、オロミアゾーン地区、アルゴバ地区、北シェワ地区、)、アファール州の一部(フェンティ地区、アウシ地区、ギルバティ地区)
2020年11月、TPLFと連邦政府との間で軍事衝突が発生しました。2021年6月に連邦政府が一方的人道的停戦を宣言して以降も戦闘は各地で継続し、7月以降、TPLFがアファール州に侵攻し、8月上旬に国防軍が正式にTPLFへの攻撃を再開して以降、国防軍とTPLFとの軍事衝突はアムハラ州及びアファール州の広範囲に波及しています。両州内では断続的に衝突が発生しており、10月以降、国防軍はアムハラ州及びアファール州に存在するTPLF勢力に対する攻勢を強め、地上作戦及び空爆による攻撃を行っています。また10月中旬以降、ティグライ州内のTPLF施設を標的とした空爆を継続して行っています。ティグライ州、アムハラ州の一部(ティグライ州との州境地帯、ワグ・ヒメラ地区、北ウォロ地区、南ウォロ地区、オロミアゾーン地区、アルゴバ地区、北シェワ地区)、アファール州の一部(フェンティ地区、アウシ地区、ギルバティ地区)においては衝突に巻き込まれる危険があります。なお、ティグライ州では、インターネットや電話などの通信手段が遮断されているほか、メケレ空港の商用便の運航は停止しています。
エ オロミア州西ウェレガ地区
2019年3月、走行中の車両に対する襲撃事件が発生し、乗車していた日本人1名を含む計5名が死亡しました。その後も、2020年10月に武装集団が民間人のアムハラ系民族などを襲撃し、数十名の死者と数百名の避難民が出たとされる事件が発生したほか、日常的に武装集団と治安部隊との衝突が発生するなど、治安の悪化が続いています。
オ オロミア州東ウェレガ地区及びケレム・ウェレガ地区
オロミア州西ウェレガ地区に近接する東ウェレガ地区及びケレム・ウェレガ地区では、襲撃事件や武装集団と治安部隊との間で多数の死傷者を伴う衝突が頻繁に発生しています。2021年7月、東ウェレガ地区において大量の弾薬が押収されるとともに5名が逮捕され、ケレム・ウェレガ地区では地方政府関係者が武装集団に殺害される事件が発生するなど、治安の悪化が認められます。
カ ベニシャングル・グムズ州カマシ地区及びメテケル地区
2021年6月、ベニシャングル・グムズ州カマシ地区において武装集団による襲撃事件が発生し、少なくとも40名以上の民間人が殺害されました。また、同年7月には、同州メテケル地区においても武装集団による襲撃事件が発生し、子どもを含む31名が死傷、30名以上が行方不明となっています。メテケル地区及びカマシ地区では、民族間の対立が激化しているほか、武装集団と治安部隊との間で多数の死傷者を伴う戦闘が頻繁に発生しています。

ついては、上記地域への渡航はどのような目的であれ止めてください。また、既に滞在されている方は直ちに退避してください。

(2)ガンベラ州の南スーダンとの国境地帯及びソマリ州(ソマリアとの国境地帯、ジジガ市及びゴデ市を除く。)アムハラ州南ゴンダール地区レイガイント郡及びファルタ郡、アファール州ゲビ地区、オロミア州イルバボール地区及びホロログドゥル・ウェレガ地区
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)

アムハラ州(ティグライ州との州境地帯、ワグ・ヒメラ地区、北ウォロ地区、南ウォロ地区、オロミアゾーン地区、アルゴバ地区、北シェワ地区、南ゴンダール地区レイガイント郡及びファルタ郡を除く)、アファール州(フェンティ地区、ゲビ地区、アウシ地区、ギルバティ地区を除く)、オロミア州(東西ウェレガ地区、ケレム・ウェレガ地区、イルバボール地区、ホロログドゥル・ウェレガ地区を除く)、ガンベラ州(南スーダンとの国境地帯を除く)、ソマリ州(ジジガ市及びゴデ市)、南部諸民族州、ベニシャングル・グムズ州(カマシ地区及びメテケル地区を除く。)、アディスアベバ市
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(引き上げ)

ア ガンベラ州の南スーダンとの国境地帯
2016年4月、南スーダンから越境したムルレ族の襲撃により200名以上が殺害、145名の子どもが拉致される事件が発生したほか、その後もムルレ族とみられる武装集団による同様の襲撃事件が複数の村で発生しています。同月には、同地難民キャンプにおいて、NGO職員が起こした交通事故が原因で、暴徒化した難民によりNGO職員が殺害される事件や、国連施設が襲撃される事件が発生するなど、依然として殺人、強盗、子どもの誘拐などの重大犯罪の発生が頻繁に報告されており、生命に関わる重大な事件に巻き込まれるおそれがあります。また、2020年4月には、ヌエル県ジコウ郡の南スーダンとの国境地帯において南スーダンの武装集団同士の衝突が発生し、エチオピア側の住民2名が巻き込まれて死亡する事件も発生しています。
イ ソマリ州(ソマリアとの国境地帯、ジジガ市及びゴデ市を除く。)
過去にテロ未遂や外国人誘拐事件等が発生しており、ASの侵入による重大事件が発生する可能性があります。2019年9月には、AS及び「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)がアディスアベバでの爆弾テロを企図したとして、ソマリ州からの入国者が多数逮捕されたほか、複数の住居がテロの拠点として摘発されました。
また、ソマリ族とオロモ族との衝突は鎮静化する様子が見られず、武器による攻撃や焼き討ちに巻き込まれる可能性があります。ケニア及びソマリアと国境を接するリベン地区では、治安部隊と反政府勢力との衝突が頻発しています。
ウ アムハラ州(ティグライ州との州境地帯、ワグ・ヒメラ地区、北ウォロ地区、南ウォロ地区、オロミアゾーン地区、アルゴバ地区、北シェワ地区、南ゴンダール地区レイガイント郡及びファルタ郡を除く)
2021年6月の連邦政府による一方的人道的停戦の宣言以降、TPLFのアムハラ州内への侵攻が進み、8月にはワグ・ヒメラ地区の都市ラリベラにまで到達したことが確認されました。これに伴い、アムハラ州は、TPLFに対し同州軍と連邦政府軍による合同軍事作戦を実行することを発表し、それ以降、アムハラ州内での軍事衝突は各地で断続的に発生しています。10月以降、連邦政府はアムハラ州内での攻勢を強め、ワグ・ヒメラ地区、北ウォロ地区、南ウォロ地区などのTPLF勢力に対する空爆や地上作戦を実行しています。さらに、アムハラ州のティグライ州境地帯では、依然として激しい軍事衝突が頻繁に発生しており、これら軍事衝突がアムハラ州全域に波及する可能性があることから、危険度をレベル3に引き上げます。
エ TPLFのアムハラ州及びアファール州への侵攻を受け、11月2日、エチオピア政府が国内全域を対象とした非常事態宣言を発令したことに伴い、アファール州(フェンティ地区、ゲビ地区、アウシ地区、ギルバティ地区を除く)、オロミア州(東西ウェレガ地区、ケレム・ウェレガ地区、イルバボール地区、ホロログドゥル・ウェレガ地区を除く)、ガンベラ州(南スーダンとの国境地帯を除く)、ソマリ州(ジジガ市及びゴデ市)、南部諸民族州、ベニシャングル・グムズ州(カマシ地区及びメテケル地区を除く。)、アディスアベバ市の危険レベルを3に引き上げます。
オ アファール州ゲビ地区
アファール州ゲビ地区では、かねてからアファール人とイサ・ソマリ人との対立がみられましたが、2021年7月以降、同民族間の対立が激化し、数日間にわたる衝突で数百名の死者が出るなど治安の悪化が認められます。
カ オロミア州イルバボール地区及びホロログドゥル・ウェレガ地区
オロミア州西ウェレガ地区に近接するイルバボール地区及びホロログドゥル・ウェレガ地区では、襲撃事件や武装集団と治安部隊との衝突が頻繁に発生しています。
キ 2020年11月、アムハラ州ゴンダール及びバハルダールにおいて、TPLFによるロケット弾攻撃が行われており、今後、TPLFと連邦政府軍との衝突がアムハラ州及びアファール州全域に及ぶ危険性があります。また、アファール州南部では、アファール人とイサ・ソマリ人との衝突が激化し、多数の死者が出ています。
ク 2019年6月、アムハラ州治安部門が、州都バハルダールでアムハラ州知事を殺害するとともにアディスアベバにおいて国防軍参謀総長を暗殺する事件が発生しました。アムハラ州ゴンダール県等においては、FANOと呼ばれる若者グループが反政府活動を行っているほか、クマント族による地位向上を目指す反政府活動が行われており、治安部隊との衝突が発生しています。
また、2019年後半にエチオピア各地でエチオピア正教教会に対する襲撃事案が発生しましたが、それに対する報復としてアムハラ州東ゴジャム県でイスラム教のモスク襲撃事件が発生したほか、デッセ等の町で大規模な抗議デモが開催されました。これらの場所に渡航する場合は、事前に現地の最新情報を収集し、常に警戒心を持って行動することが大切です。人が集まっている場所に興味本位で近づくと、デモや暴動に巻き込まれる可能性があり、危険です。また、地方では道路状態が悪く、大規模な死亡交通事故が発生しているため、公共交通手段であってもできるだけ陸路移動は避け、空路を選ぶように心掛けてください。
ケ 2012年1月、アファール州エルタ・アレ(火山)付近で、外国人観光客が武装集団に襲撃され、5人が死亡、2人が誘拐されました。また、2017年12月には、外国人旅行者がエルタ・アレへの旅行中に武装集団に襲撃され、射殺されました。日本人が被害者となる盗難事件も発生しています。今後も、この地域にある噴火口等の観光名所を訪れる外国人旅行客等を狙った犯罪の脅威は排除できません。エルタ・アレを含むアファール州の観光地を訪れる際には、事前に十分に情報収集した上で、信頼できる案内人に安全確保を依頼し、決して単独で行かないようにしてください。
コ スーダンとの国境地帯では、頻繁に反政府勢力による道路封鎖などが行われ、襲撃事件なども発生しています。スーダンに所在するTPLF勢力と国防軍との衝突の可能性も否定できません。2021年5月には、連邦政府軍とスーダン軍との衝突事案も発生しています
サ ガンベラ州(南スーダンとの国境地帯を除く。)では、2016年1月以降、ヌエル族とアニュアク族との間の部族間衝突が度々報告され、同州における緊張状態が高まっているほか、殺人、強盗、誘拐などの犯罪が多発しています。ガンベラ市中心部でも銃撃戦や手りゅう弾の投てき事件が報告されているほか、2019年9月にはガンベラ市から難民キャンプへ向かう道中における国際NGOの車両襲撃、2020年9月にはガンベラ市郊外での国際NGOの車両強奪事件などが発生しています。2016年12月には、ガンベラ市からメタルに向かうバスが武装集団に襲撃され、乗客5名が死亡、9名が負傷する事件も発生しています。
シ ソマリ州ジジガ市及びゴデ市は、ソマリ州における反政府活動や民族間衝突の起点となっており、これらの間隙を突かれASの標的となる可能性もあります。両市は軍や警察等の治安部隊により治安が保たれていますが、民族間衝突やテロ等、様々な原因によって治安が急激に悪化する可能性があります。また、過去にテロ未遂や外国人誘拐事件等が発生しており、ASの侵入による重大事件が発生する可能性があります。2019年9月には、AS及びISILがアディスアベバでの爆弾テロを企図したとして、ソマリ州からの入国者が多数逮捕されたほか、複数の住居がテロの拠点として摘発されました。
また、ソマリ族とオロモ族との衝突は鎮静化する様子がみられず、武器による攻撃や焼き討ちに巻き込まれる可能性があります。ケニア及びソマリアと国境を接するリベン地区では、治安部隊と反政府勢力との衝突が断続的に発生しています。
ス 南北スーダンとの国境地帯には、反政府武装組織が潜伏している可能性があります。同地域で2012年に発生したバス襲撃事件及び大規模農場襲撃事件は反政府武装組織の犯行であり、同組織は連邦政府軍の掃討作戦により壊滅したと発表されていますが、今後も同様の事件が発生するおそれがあり、情勢次第では暴動の火種になる可能性もあります。
セ 南部諸民族州のケニアとの国境地帯では、過去に観光客が発砲を受け重傷を負う事件が発生しています。
ソ ベニシャングル・グムズ州では、2020年8月からメテケル県などにおいて武装集団と治安部隊との衝突が頻繁に発生しています。同年10月、アソサ県からメテケル県に移動中の車両が襲撃され、外国人1名を含む14名が殺害されました。2020年10月には、ティグライ州における軍事衝突に関連し、アソサ県及びケマシ県においてテロ攻撃を企図したとして22名が逮捕されており、今後もテロ等が発生するおそれがあります。また、2020年11月には、武装集団が長距離バスを襲撃し、少なくとも乗客34名が死亡する事件が発生しています(治安部隊が同集団の構成員16名を殺害、2名を逮捕。)。
タ オロミア州東部では、2017年9月、オロモ族とソマリ族との衝突が激化し、数百人の死者、60万人以上の国内避難民が発生したと報じられました。また、2019年から2020年にかけ、教会襲撃事件や学生誘拐事件が発生したほか、オロミア州西部におけるインターネット遮断などの際は、東西ハラルゲ地区及びバレ地区、ディレ・ダワ市、ハラール市などで、政府に対する大規模な抗議デモが発生しました。
チ オロミア州のケニアとの国境地帯では、2016年及び2018年にテロ等を企図して越境した武装集団がエチオピア治安部隊に拘束されています。それ以降も大規模な暴動や民族間衝突が頻繁に発生し、多数の死傷者が発生しています。
ツ オロミア州
(ア)オロミア州では、近年のオロモ民族主義の高まりにより、アディスアベバ近辺の都市において大規模なデモや暴動が発生しています。また、アディスアベバとオロミア州をつなぐ幹線道路は、その都度治安部隊または抗議活動参加者によって州境で封鎖される傾向があります。
(イ)2020年6月には、オロモ系歌手の殺害をきっかけに、同歌手の故郷であるアンボにおいて遺体をめぐる衝突が発生し、約80名が死亡しました。また、断続的に治安部隊と群衆との衝突が発生しています。
(ウ)アディスアベバ南東のビショフトゥ(デブラゼイト)では、オロモ系民族の祭典「イレチャ祭」が開催され、2016年にはイレチャ祭をきっかけに衝突が発生し、500名が死亡したとされています。2019年もイレチャ祭後の10月にオロミア州各地で暴動が発生し、80名以上が死亡したとされています。
(エ)アディスアベバ南東に位置するアダマでは、2019年に外国人のプラントが襲撃され、1名が死亡、6名が負傷する事件が発生しています。
テ アディスアベバ市
(ア)アディスアベバ市では、旅行者を狙った強盗、スリ、ひったくり、詐欺及び車上ねらい等の犯罪が多発しており、特にマルカート(市場)、マスカル広場、ピアッサ、ボレ地区等の観光客や外国人の多く集まる場所、バス、ミニバス、ホテル内等で発生する傾向がみられます。アディスアベバやその他の地方の比較的大きな町に渡航・滞在する方は、周囲の状況に十分注意して行動し、夜間の外出や移動は避けてください。バスやミニバスの利用はできる限り控えてください。
(イ)都市部において、観光ガイドを装った客引き等に飲食店に誘われた後、法外な金額が請求される事件が発生しており、日本人旅行者も被害に遭っています。また、市内には物乞いが多数おり、これらの物乞いが外国人に対し嫌がらせや危害を加える事件が増えています。物乞いには、たとえ親切心からでも近付かないようにしてください。急速な物価上昇を背景とした生活難もあり、夜間の路上強盗が多発しています。
(ウ)アディスアベバでは、2018年4月にアビィ首相が就任して以降、同年6月に爆弾による首相暗殺未遂事件、同年7月にルネサンス・ダムの工事責任者の射殺事件、2019年6月に国防軍参謀総長暗殺事件、同年10月に活動家のジャワール・モハメッドによるオロモ系民族扇動事件、2020年6月にオロモ系民族による騒擾事件等、政治色の強い重大事件が発生しています。また、2021年5月以降、ルネサンス・ダムの貯水や第6回総選挙に関連して、欧米諸外国のエチオピア内政への干渉に反対する大規模なデモや政治集会が行われています。
ト 南部諸民族州
南部諸民族州では、2019年、州都ハワサが位置しているシダマ県において州への格上げ運動が発生し、治安部隊との衝突も発生するなど、緊張状態が続きました。住民投票の結果、州への格上げが決定されましたが、ワライタ県等が格上げに不満を示しており、抗議活動参加者と治安部隊の衝突が発生するなど、緊張状態が続いています。また、南部諸民族州はエチオピア観光の中心地でもあり、観光客が被害に遭う事件も多数発生しています。
ナ その他
2021年6月、連邦政府がティグライでの軍事衝突の一方的停戦を宣言して以降、エチオピア国内各地において、連邦政府軍支持者によるTPLFに対する大規模抗議デモが開催されました。

ついては、上記地域への渡航はどのような目的であれ止めてください。既に滞在中の方は、今後事態が急変する可能性があることを念頭に置き、商用便が運航されているうちに、商用便を利用した出国を検討することを強くお願いします。

3 渡航・滞在にあたっての注意
エチオピア滞在中は下記の事項に十分留意して行動し、危険を避けるようにしてください。また、日本国外務省、在エチオピア日本国大使館、現地関係機関及び報道等より最新情報を入手するよう努めてください。
(1)海外渡航の際には万一に備え、家族や友人、職場等に日程や渡航先での連絡先を伝え ておくようにしてください。
エチオピアに3か月以上滞在される方は、在エチオピア日本国大使館が緊急時の連絡先を確認できるよう、必ず「在留届」を提出してください。
3か月未満の旅行や出張などの際には、渡航先の最新の安全情報や、緊急時に在エチオピア日本国大使館の連絡を受け取ることができるよう、外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。
https://www.ezairyu.mofa.go.jp/index.html
(2)外出の際には身の周りの状況に十分注意してください。また、大規模行事等に安易な気持ちで参加するのは極力控えるなど、犯罪等に巻き込まれないよう注意してください。
(3)車両を利用して外出する際には、確実にドアを施錠するとともに、見知らぬ者を乗車させないようにし、乗車の際には周囲の安全確認を励行してください。また、見知らぬ者の車両に乗り込むと犯罪被害に遭う可能性が極めて高くなります。親切に声をかけられても、これに応じてはいけません。
(4)外出先及び自宅や職場の周辺で不測の事態が起きた場合は、直ちに日本国大使館に連絡してください。
(5)エチオピアは内陸国であり、周辺各国の影響を受けやすいため、注意が必要です。特に、ソマリア国内のASが周辺国でもテロ・襲撃などを行っており、エチオピアを含む東アフリカ地域では、テロの脅威に十分注意する必要があります。エチオピア政府は、首都アディスアベバ市内やソマリ州周辺地域を中心に警備を強化していますが、エチオピア国内でテロやこれに関連する不測の事態が発生する可能性は排除できません。
(6)テロの対象となる可能性のある治安機関、宗教施設等には近づかず、ショッピングセンター等人の多く集まる場所を利用する際には周囲に十分注意を払ってください。バス、ミニバス等の利用は極力控え、仮に利用する場合でも、所持者不明の荷物等が置き去りにされていないかなど細心の注意を払い、自らの安全確保に十分注意してください。
(7)ホテル内であっても盗難被害が発生しているため、客室の十分な施錠設備や警備員の配置など、安全対策のしっかりしたホテルを選ぶことが重要です。詳しい犯罪手口については、「安全の手引き」を参照してください。
(8)アディスアベバ市内では、自動車が急激に増加しており、これに伴い交通事故が多発し、死傷者も急増しています。当地での一般的なレンタカーは運転手付きが多いものの、事前によく確認して、経験豊富で安全運転する運転手を手配するよう心掛けてください。また、徒歩で移動する場合、歩道や横断歩道がない場所が多く、交通マナーも劣悪なため、周囲の状況に常に気を配ってください。
(9)依然として、外国人がスリやひったくり、置引き等の被害に遭う事件が後を絶ちません。観光地を訪れる場合、バッグ等は胸の前に持つように心掛け、子どもを含め見知らぬ者から声をかけられた場合は気を許さず、所持品(バッグ類)には十分注意を払うようにしてください。また、唾や水を吐きかけられる、日本語で声をかけられる、乗っている車両の不具合を指摘される等特異な事柄が発生したときは要注意です。周囲に窃盗犯やその仲間がいると考え、被害防止に努めてください。
(10)隣国のソマリア、ケニア、スーダン、南スーダン、エリトリア及びジブチに対しても、別途それぞれ危険情報が発出されているので、留意してください。国境を陸路で越境することは、決して安全ではありません。場所によっては、極めて危険なところもあります。陸路移動はできるだけ避け、空路を選んでください。

(問い合わせ窓口)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903
(外務省内関係課室連絡先)
○領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く。)(内線)2306
○領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)(内線)3047
○海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC版・スマートフォン版)
http://www.anzen.mofa.go.jp/m/mbtop.html (モバイル版)
(現地大使館連絡先)
○在エチオピア日本国大使館
(所在地)Bole Sub-city Woreda 6, House No.431, Addis Ababa, Ethiopia(P.O.BOX 5650)
電話:(市外局番11)667-1166
(国外からは251-11)667-1166
FAX:(市外局番11)667-1177
(国外からは251-11)667-1177
ホームページ:http://www.et.emb-japan.go.jp/index_j.htm

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