2020.05.02
シンガポール サーキットブレーカー対策を緩和
新型コロナウイルスの発生に関する注意喚起(その23)につきまして,以下のとおりご連絡いたします。
新型コロナウイルスの発生に関する注意喚起(その23)
令和2年5月2日
在シンガポール日本大使館
1.シンガポール保健省(MOH)は,シンガポール国内における感染者数を次の通り公表しています(1日現在)。詳細は,保健省HPを確認下さい。
感染者数17101名(累計),退院者数1268名(累計),死亡事例16名(累計)。
また,当地における感染者の急増要因となっているドミトリーやロッジと呼ばれる専用居住施設(寄宿舎)に滞在する,建設現場等のワークパーミット所持外国人労働者感染者数を次の通り併せ公表しています。
新規症例932件中,905件はドミトリーに居住するワークパーミット所持外国人労働者(ドミトリ-)外感染者数は16件)。一般国内感染症例は11件。
2.2日,保健省はサーキットブレーカー対策を緩和し,6月1日以降の活動再開に向け準備を進める旨公表しています。詳細は保健省HPを確認下さい。
(1)関係省庁タスクフォースは,2020年4月21日に発表されたサーキットブレーカーの厳格化措置の一部を今後数週間で段階的に緩和します。同時に,2020年6月1日のサーキットブレーカー期間終了後,経済活動やコミュニティ活動が安全かつ段階的に再開されるよう準備を進めています。こうした活動を再開する際には,チェックインシステム「SafeEntry」などのデジタルソリューションをより普及させ活用させていきます。
(2)皆が自らの役割を果たし,セーフディスタンシングを守っていることで,この1ヶ月間でコミュニティでの感染は大幅に減少しました。コミュニティでの1日平均の新規発生件数は,その前の週の25件からこの1週間では12件と半分以上に減少しました。
(3)そうは言っても,危機的状況を乗り越えられたわけではありません。コミュニティにはまだ感染経路が不明な症例があり,ガードを緩めれば新たなクラスターが形成される可能性があります。規制の解除は慎重に行わなければならず,更なる安全策を講じていく必要があります。
(職場と経済の段階的再開)
(4)職場の再開については,経済やサプライチェーンにとっての重要性,国内雇用への貢献度,職場における感染リスクを最小化する能力などを考慮し,段階的に進めていく予定です。これを安全に行うために,すべての事業主・企業に対して,より厳格な要件を課す予定です。
(5)特に,すべての企業は,業務の不可欠な一部として安全管理の実践を行わなければなりません。これは,感染リスクの高い状況や習慣を積極的に特定し,適切な予防措置や安全確保措置を実施することを意味します。
(6)例えば,可能な限り在宅勤務を継続し,職場での従業員間のセーフディスタンシングを徹底し,労働時間と休憩時間をずらし,別のチームや別の職場に社員を派遣しないようにしなければなりません。また,全従業員に職場でのマスク着用を義務づけ,従業員同士が集まらないようにしなければなりません(例えば,従業員が社員食堂で交流したり,昼休みに集団で外出してはなりません)。具体的な職場における対策の詳細については,今後,人材開発省(MOM),貿易産業省(MTI)及び関係機関から発表される予定です。
(7)今後数週間の間に,我々は事業者団体や商工会議所と緊密に連携して,企業に関与し業務再開時により厳しい安全管理要件を満たすための企業の準備を支援します。
(8)関係省庁タスクフォースは,必要な安全管理措置の実施を条件に今後数週間の間に選択された活動とサービスの漸進的な再開を認めていきます。
(9)2020年5月5日から,中医学の医師が必要不可欠と判断した場合,鍼灸師につき,痛みを緩和するという目的に限り中国伝統医学針治療の再開を許可します(ただし,カッピング,お灸,グアシャ,チュイナは除きます)。登録された鍼灸師のいる鍼灸院では関連商品の販売を許可します。これは既に認められている診療と漢方薬の処方に追加されるものです。
(10)2020年5月5日から,コンドミニアム居住者が歩道等の居住者専用の共有空間スペースにて運動することを許可します。ただし,セーフディスタンシングを引き続き遵守する必要があります。言い換えれば,公共の場所と同じ規則が適用され,執行官が定期的な巡回監視を行います。また,コンドミニアムの管理会社はこれらの規則が遵守されるよう協力します。公園,プール,ジム,バーベキュー施設,クラブハウス等のコンドミニアム施設は引き続き閉鎖されたままとします。
(11)2020年5月12日からは,以下の活動の再開が許可されます。
(a) ケーキ,菓子,アイスクリーム,ココア,チョコレート,チョコレート菓子やその他のスナックを含むすべての食品の製造,店での調理。
(b) ケーキ,菓子,袋詰めされたスナック,デザートを含む食品販売店はテイクアウト,デリバリーのみのため営業。
(c) 自宅での食品関連事業はデリバリー,ピックアップの形態でのみ営業可能であり,食事提供は不可。デリバリーや注文のピックアップは予約により安全かつ接触しない形で行われなければなりません。これにより,空間を確保し客が集まることがなくなります。詳細いては途公表します。
(d)ランドリーサービス。
(e)基本的な散髪を行う理髪店,美容店。
(f)ペット用品販売店。
(12)運営が許可される活動のリストと関連情報は以下のサイトにて更新されます。
https://covid.gobusiness.gov.sg/essentialservices.
(13)教育は在宅学習を通じてサーキットブレーカー期間中継続されています。しかし,今年国家試験を受験しなければならない生徒や両親に不安があることを認識しており,5月19日以降,学校は少人数による対面の指導,授業のため卒業年次の生徒の通学を再開します。授業に学校施設や実技指導が必要な生徒や休校中に追加支援や補講が必要な生徒が優先されます。高等教育機関(IHL),特に技術教育機関は重要な指導,プロジェクト,演習科目のため少人数の生徒の通学を再開します。また,学校やIHLに通学する生徒の時差通学を行います。さらに,生徒を個別のグループにわけるなどセーフディスタンシングや安全措置を実施します。
(14)外国人労働者のドミトリー(寄宿舎)での感染者数は引き続き多いため,すべてのドミトリー(専用ドミトリー,工場改造ドミトリー,仮設宿舎,臨時宿舎など)における(外国人)労働者の外出制限はサーキットブレーカーの終了時,6月1日(6月1日を含む)まで延長されます。これは新型コロナウイルスの更なるコミュニティ感染のリスクを更に低減させます。
(15)関連省庁間タスクフォースは今後数週間の傾向を注意深く監視し,必要に応じてさらに措置の調整を行います。
(16)サーキットブレーカー措置終了後もコミュニティ感染は引き続き残るでしょう。追跡調査し感染者の濃厚接触者を迅速に隔離することができなければなりません。我々は追跡調査を迅速化するために技術を活用し,これにより,あらたなクラスターの形成を効果的に防ぐとともに,活動の安全な再開が可能となります。
(17)SafeEntryは2020年4月23日に政府によって導入され,人気の場所や必要不可欠なサービスの職場,特定の公共施設を訪れる個人の氏名,NRIC/FIN,携帯電話番号を記録します。このような詳細は必要に応じて政府が迅速かつ効果的に接触者追跡調査を行うために必要です。利用者は,それぞれの場所に表示されたQRコードを携帯電話でスキャンするか,またはNRIC,運転免許証,学生証,労働許可証などのバーコードのついた身分証明書をスキャンすることでチェックインします。
(18)追跡調査をさらに支援するため,SafeEntryは国内で広範囲にわたり展開されなければなりません。特に,一時的でない接触リスクが高い場所においてです。これらには職場,モール,スーパーマーケットが含まれます。5月12日以降,活動するすべての企業,サービスは従業員,訪問者の入退出を記録するSafeEntryシステムを導入しなければなりません。
(19)MRTの駅や公園等の一時的に滞在する場所では,SafeEntryチェックは義務ではありませんが,QRコードを掲げ,追跡調査の必要が生じた際に連絡できるよう国民にはコードをスキャンすることを慫慂します。SafeEntryにより収集されたデータは追跡調査のため許可された職員によってのみ利用されます。政府のデータセキュリティ基準に従い,データを保護するための厳格な基準が適用されます。SafeEntryが展開される場所のリストの詳細は今後数日のうちに公表されます。
(20)迅速な追跡調査を可能とするデジタルツールの向上に取り組みますが,その間,多くのシンガポール人が「TraceTogether」 アプリをダウンロードし積極的に利用することを求めます。このアプリはBluetoothの近接データを使い,ユーザ間の濃厚接触を判断します。Apple社及びGoogle社と協働し,iPhoneでも本アプリが効率化されるように努めています。また,スマートフォンを持たない高齢者や若年層のための解決方法も検討しています。今後数週間のうちに詳細を公表します。
(21)新型コロナウイルスの拡散を遅らせるために社会的責任は極めて重要です。サーキットブレーカーが段階的に解除される中においても,私達すべての人々はできる限り家にいることを継続すべきです。そして,外出を最小限にしなければなりません。コミュニティや職場において,セーフディスタンシング,個人の衛生管理,マスク着用などの習慣を継続していかなければなりません。これは,新型コロナウイルスの世界における新状態(new normal)です。
3.27日,保健省は新型コロナウイルスに係る医療に関する方針について公表しています。詳細は保健省HPを確認下さい。
(保健省HP)
https://www.moh.gov.sg/news-highlights/details/scaling-up-of-covid-19-testing
(総合医療計画)
(1)関係省庁タスクフォースは,新型コロナウイルス感染者が迅速かつ適切な治療を受けられるよう,総合的な医療戦略を有しています。これまでの延べ14423人の患者のうち1095名が回復し退院しています。死者は14人という低水準です。医療スタッフは引き続き,死者や合併症を限りなく少なく抑えるため最善を尽くしていきます。
(医療計画)
(2)総合医療計画は,患者の治療データや感染に関して得られているデータを元に策定したものです。患者の病院・待機施設・隔離施設等適切な施設への振り分け・移動,回復者の退院についての指針も含んでいます。計画の目的は医療リソースの配置を最適化し,医療システムの崩壊を防ぐことです。
(3)検査で陽性となった者のほとんどは軽症か無症状です。このような者は基本的にCommunity Care Facilities(CCF)に収容します。ほとんどが治療の必要なく回復しています。CCFでは入所者の観察をしっかり行い,必要な場合は病院に移送します。深刻な症状のある者やリスク要因を持っている者,合併症を発症している者等の重篤な者はICUで治療を行います。4月27日午後12時の時点で入院者は1451名,ICUで治療中の者は20名です。
(4)感染症の専門家により新型コロナウイルスの進行メカニズムも研究されてきました。感染から14日経っても体調が良好な者は,その後も体調は安定しておりほぼ治療を必要としません。このような者はCommunity Recovery Facility(CRF)に移送します。これまでに病院に収容した者についても,急性の呼吸器症状が治まったらCRFに移送します。
(5)この計画のために,多数のCCFやCRFを設置します。また,各施設において適切なレベルのケアが受けられるようにするため,医療スタッフを増強して配置します。
(医療施設の増強)
(6)急性の呼吸器症状があるものの医学的に特に問題はない(clinically well)者は5日間の療養指示書が交付され,その場合は自宅で自己隔離してもらうこととなっています。新型コロナウイルスの基準に該当する者は検査し,結果が出るまでは自宅で自己隔離しながら待機してもらいます。自宅で自己隔離ができない場合は,Swab Isolation Facility(SIF)での待機(隔離)も可能。現時点でSIFとして保養所やホテルに4000名の収容が可能。医学的に治療が必要な(clinically unwell)者は診察と治療のため直ちに病院に送致されます。
(7)CCFについては収容能力を急ピッチで拡大してきたところであり,当初保養所等に500床程度確保していましたが,現在はシンガポールエキスポ(展示場)等に10000床程度分確保しています。引き続きCCFを増強し,6月末までに20000床まで倍増させる予定です。これは外国人労働者の寄宿舎の中に設置予定のものも含み,医療スタッフを派遣し,軽症の労働者を速やかに隔離して必要な治療を受けられるようにします。
(8)現在CRFは軍のキャンプの中に設置しており,2000名収容可能です。CCFからCRFへの患者の移送を開始したところであり,今後もCRFを増強し,CRFへの収容を増加させます。収容能力は6月末までに10000名以上にする予定です。
(9)病院のキャパシティを確保するため,公立病院では不急の(待機的)手術を延期しています。既存の病床等を改装し,換気装置などの設備も導入して新たな隔離病室とICUを作りました。また,さらなる収容能力の確保や既存の慢性疾患患者の治療のため,民間の医療機関との協力体制を構築しています。私立病院では公立病院への協力として,公立病院の比較的軽症の患者の診療を行っています。医療機関では患者の経過観察のため遠隔診療も開始しています。
(医療スタッフの増強)
(10)医療施設の増強のためには医療スタッフによるサポートが不可欠です。そこで2つの方策をとっています。一つは民間の医療資格者,退職した方,ボランティアを招集すること,もう一つは技術をフル活用することです。
(11)これまで民間の医師や看護師等を募集し,最近立ち上げたSG医療部隊(Healthcare Corps)への参画を呼びかけてきました。4月7日の立ち上げ以降,様々な分野から約3000名の応募者がありました。今後も有資格者や一般の方を引き続き募集し部隊を拡大していく予定です。また,新型コロナウイルスに影響を受けた業界の人材を活用し病院で働いてもらっています。例えばシンガポール航空のキャビンクルーには「ケア・アンバサダー」として,看護師の指示を受けながら管理業務や患者対応に当たってもらっています。
(12)また,時間と労力を節約しつつ,場所を問わず最良の結果が得られるよう,技術をフル活用していきます。例えばCCFではメディカル・キオスクや遠隔診療により24時間の医療が受けられる。パルスオキシメーターや健康管理アプリにより患者の健康状態を管理します。
(13)限られた時間で医療施設や体制を稼働することができたのは,場所や医療等を提供する官民一丸となった取組の結果です。
(14)医療を支えるために日夜働き続けてくれている方々に感謝します。皆さんのおかげで全ての患者をケアし,医療を維持し続けることができます。新型コロナウイルス問題は長期化すると思われ,患者全員をケアするための十分なキャパシティが必要です。医療施設と人員の増強はサーキット・ブレーカーを徐々に緩和していくための強力な足がかりとなると考えています。
4.航空会社各社は,新型コロナウイルスの発生により,路線の減便等の措置を実施しています。詳細は各社HPを確認ください。
(日本航空HP)
https://www.jal.co.jp/jp/ja/info/2020/inter/200313/index.html
https://www.jal.co.jp/jp/ja/info/2020/inter/200313_04/
(全日空HP)
https://www.ana.co.jp/ja/jp/topics/notice200206/#2
(シンガポール航空・シルクエアーHP)
https://www.singaporeair.com/saar5/pdf/media-centre/200324NorthAsiaFlightCanxTable.pdf
https://www.singaporeair.com/en_UK/sg/media-centre/news-alert/?id=jmjgoyqg
5.外務省は,新型コロナウイルスの発生に関し,海外安全HPにて「感染症危険情報」を発出しています。渡航にあたっては,同ホームページ等にて最新情報の入手を行ってください。
https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/info0330.html
6.今般の世界的な新型コロナウイルスの発生を受け,各国政府が日本・シンガポールを含む国々の入国制限措置及び検疫強化措置を実施していますので,渡航にあたっては,外務省HP・渡航先大使館のホームページ等にて最新情報の入手を行ってください。
(新型コロナウイルス(日本からの渡航者・日本人に対する各国・地域の入国制限措置及び入国・入域後の行動制限)
https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/pdfhistory_world.html
7.外務省海外安全ホームページ,厚生労働省ホームページ,シンガポール保健省ホームページなどの最新情報を収集し引き続き感染予防に努めて下さい。
●シンガポール保健省(MOHホームページ)https://www.moh.gov.sg/
(参考)シンガポール政府はWhatsAppの専用チャンネルを設け情報を提供しています。(チャンネル登録:https://go.gov.sg/whatsapp)
在シンガポール日本国大使館
TEL:6235-8855
FAX:6733-5612
E-mail:ryoji@sn.mofa.go.jp
http://www.sg.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html