2018.10.09
インド ジャイプール市におけるジカウイルス感染症の発生
●インド政府はラジャスタン州ジャイプール市で,ジカウイルへの感染例が報告されたと発表しました。
●妊娠中にジカウイルス感染症に感染すると,胎児に小頭症等の先天性障害を来すおそれがあります。特に妊娠中又は妊娠予定の方は,念のため,ジャイプール市への移動・旅行を可能な限りお控えください。やむを得ず現地に滞在する場合には,主治医と相談の上で,厳重な防蚊対策に努めてください。
1 ジャイプールにおけるジカウィルス感染の発生
(1)インド政府保健家族福祉省は,ラジャスタン州ジャイプール市においてジカウイルスへの感染例が22件報告されたと発表しました。
(2)同省によると,インドでは,2017年1月~2月にグジャラート州アーメダバード市において,また,2017年7月にタミル・ナド州クリシナギリ地区においてジカウィルスの発生が確認されましたが,当局の措置により,大規模な感染の拡大は防がれたとのことです。
(3)ジカウイルス感染症は感染しても症状がないか(不顕性感染),症状が軽いため感染に気づきにくいことがあります。しかし,妊娠中にジカウイルスに感染すると,胎児に小頭症等の先天性障害を来すことがあることから,特に妊娠中又は妊娠を予定している方は,流行国・地域への渡航を可能な限り控えるなど,十分な注意が必要です。
2 ジカウイルス感染症について
(1)感染経路
ジカウイルスを持ったネッタイシマカやヒトスジシマカ(注:デング熱を媒介する蚊と同じ)に刺されることで感染します。感染した人を蚊が刺すと,蚊の体内でウイルスが増殖し,その蚊に他の人が刺されると感染する可能性があります。また,母胎から胎児への感染,輸血や性交渉による感染リスクも指摘されています。
(2)症状
ジカウイルスに感染してから発症するまでの期間(潜伏期間)は2~12日であり,主に2~7日で,およそ2割の人に発症すると言われています。発症すると軽度の発熱,発疹,結膜炎,関節痛,筋肉痛,倦怠感,頭痛等の症状を呈しますが,一般的にデング熱やチクングニア熱より軽症と言われています。
(3)治療方法
現在,ジカウイルス感染症には有効やワクチンや特異的な治療法はなく,対症療法が行われます。ジカウイルス感染症が発生している地域で蚊に刺された後に,発熱が続く,発疹が出るなど,ジカウイルス感染症を疑う症状が現れた場合には,医療機関を受診してください。
(4)予防
ジカウイルス感染症には有効なワクチンはなく,蚊に刺されないようにすることが最善の予防方法です。発生地域への旅行を予定されている方は,以下の点に十分注意の上,感染予防に努めてください。また,症状の有無にかかわらず,帰国後少なくとも2週間程度は昆虫忌避剤(虫除けスプレー等)を使用し,蚊に刺されないための対策を行ってください。
●外出する際には長袖シャツ・長ズボンなどの着用により肌の露出を少なくし,肌の露出した部分や衣服に昆虫忌避剤を2~3時間おきに塗布する。昆虫忌避剤は,ディート(DEET)やイカリジン等の有効成分のうちの1つを含むものを,商品毎の用法・用量や使用上の注意を守って適切に使用する。一般的に,有効成分の濃度が高いほど,蚊の吸血に対する効果が長く持続すると言われている。
●室内においても,電気蚊取り器,蚊取り線香や殺虫剤,蚊帳(かや)等を効果的に使用する。
●規則正しい生活と十分な睡眠,栄養をとることで抵抗力をつける。
●軽度の発熱や頭痛、関節痛や結膜炎,発疹等が現れた場合には,ジカウイルス感染症を疑って,直ちに専門医師の診断を受ける。
●蚊の繁殖を防ぐために,タイヤ,バケツ,おもちゃ,ペットの餌皿等を屋外に放置しない,植木の水受け等には砂を入れるなどの対策をとる。
(参考情報)
○感染症危険情報(外務省海外安全ホームページ)
https://www.anzen.mofa.go.jp/masters/kansen_risk.html
○ジカウイルス感染症について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000109881.html
○ジカウイルス感染症とは(国立感染症研究所)
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/sa/zika.html
○米疾病管理予防センター(CDC)(英文)
http://www.cdc.gov/zika/index.html
○世界保健機関(WHO)(英文)
http://www.who.int/emergencies/zika-virus/en/
(問い合わせ窓口)
○在インド日本国大使館
電話: (91) -11-4610-4610
メール:jpemb-cons@nd.mofa.go.jp