2018.04.12
カメルーン おたふく風邪(Mumps)の発生
おたふく風邪の発生が確認されました。
【特徴】
●2~3週間の潜伏期(平均18日前後)を経て発症
●唾液腺の腫脹・圧痛、嚥下痛、発熱が主症状
●最も多い合併症は髄膜炎
●接触、飛沫感染で伝搬。感染力はかなり強い
●思春期以降では男性で約20~30%に睾丸炎
●女性では約7%に卵巣炎を合併
【国立感染症研究所ホームページより】
・流行性耳下腺炎(ムンプス、おたふくかぜ)
(IDWR 2003年第35号掲載)
流行性耳下腺炎(mumps)は2~3週間の潜伏期(平均18日前後)を経て発症し、片側あるいは両側の唾液腺の腫脹を特徴とするウイルス感染症であり、通常1~2 週間で軽快する。
最も多い合併症は髄膜炎であり、その他髄膜脳炎、睾丸炎、卵巣炎、難聴、膵炎などを認める場合がある。
・疫学
流行性耳下腺炎は、5世紀にヒポクラテスがThasus島で、耳の近くが両側あるいは片側のみ腫脹する病気が流行したのを記載したのが最初であり、耳周辺の痛みを伴うこと、睾丸が腫脹することも記載されている。
流行性耳下腺炎は我が国でも毎年地域的な流行がみられており、1989 年の流行までは3~4年周期で増減が見られていたが、同年のMMR ワクチンの導入により、1991年にはサーベイランスが始まって以来の低い流行状況となった。
その後緩やかに患者報告数が増加し、1993年にMMRワク チンが中止されたこともあって、1994年以降再び3~4 年周期での患者増加が見られるようになっている。
報告患者の年齢は4歳以下の占める割合が45 ~47%であり、0歳は少なく、年齢とともに増加し、4歳が最も多い。続いて5歳、3歳の順に多く、3~6歳で約60%を占めている。
・病原体
本疾患の原因であるムンプスウイルスはパラミクソウイルス科のウイルスで、表面にエンベロープをかぶったマイナスセンスの1本鎖RNA ウイルスである。
・臨床症状
本症の臨床経過は、基本的には軽症と考えられている。
2~3週間の潜伏期(平均18 日前後)を経て、唾液腺の腫脹・圧痛、嚥下痛、発熱を主症状として発症し、通常1 ~2週間で軽快する。
唾液腺腫脹は両側、あるいは片側の耳下腺にみられることがほとんどであるが、顎下腺、舌下腺にも起こることがあり、通常48時間以内にピークを認める。
接触、あるいは飛沫感染で伝搬するが、その感染力はかなり強い。ただし、感染しても症状が現れない不顕性感染もかなりみられ、30~35%とされている。
鑑別を要するものとして、他のウイルス、コクサッキーウイルス、パラインフルエンザウイルスなどによる耳下腺炎、(特発性)反復性耳下腺炎などがある。
反復性耳下腺炎は耳下腺腫脹を何度も繰り返すもので、軽度の自発痛があるが発熱を伴わないことがほとんどで、1~2 週間で自然に軽快する。
流行性耳下腺炎に何度も罹患するという訴えがある際には、この可能性も考えるべきである。
合併症としての無菌性髄膜炎は軽症と考えられてはいるものの、症状の明らかな例の約10%に出現すると推定されており、Bang らはムンプス患者の62%に髄液細胞数増多がみられ、そのうち28%に中枢神経症状を伴っていたと報告している 5)。
思春期以降では、男性で約20~30%に睾丸炎、女性では約7%に卵巣炎を合併するとされている。
また、20,000 例に1例程度に難聴を合併すると言われており、頻度は少ないが、永続的な障害となるので重要な合併症のひとつである。
その他、稀ではあるが膵炎も重篤な合併症の一つである。
・病原診断
ウイルスを分離することが本疾患の最も直接的な診断方法であり、唾液からは症状出現の7日前から出現後9日頃まで 1)、髄液中からは症状出現後5~7日くらいまで分離が可能であるが、少なくとも第5病日までに検体を採取することが望ましい。
・治療・予防
流行性耳下腺炎およびその合併症の治療は基本的に対症療法であり、発熱などに対しては鎮痛解熱剤の投与を行い、髄膜炎合併例に対しては安静に努め、脱水などがみられる症例では輸液の適応となる。
効果的に予防するにはワクチンが唯一の方法である。
有効性については、接種後の罹患調査にて、接種者での罹患は1 ~3%程度であったとする報告がある。
接種後の抗体価を測定した報告では、多少の違いがあるが、概ね90%前後が有効なレベルの抗体を獲得するとされている。
ワクチンの副反応としては、接種後2週間前後に軽度の耳下腺腫脹と微熱がみられることが数%ある。
重要なものとして無菌性髄膜炎があるが、約 1,000~2,000人に一人の頻度である。
また、以前にはゼラチンアレルギーのある小児には注意が必要であったが、各ワクチンメーカーの努力により、 ムンプスワクチンからゼラチンは除かれるか、あるいは低アレルゲン性ゼラチンが用いられるようになり、ゼラチンアレルギー児に対しても安全に接種が行われるようになってきた。
患者と接触した場合の予防策として緊急にワクチン接種を行うのは、あまり有効ではない。
患者との接触当日に緊急ワクチン接種を行っても、症状の軽快は認められても発症を予防することは困難であると言われている。
有効な抗ウイルス剤が開発されていない現状においては、集団生活に入る前にワクチンで予防して おくことが、現在取り得る最も有効な感染予防法である。
【お問い合わせ先】
在カメルーン日本国大使館 領事班
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E mail: ryojicameroun@yd.mofa.go.jp
Cel: (237)677708915
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