2016.08.25
ネパールにおける感染症情報(ツツガムシ病 Scrub typhus)
在ネパール日本国大使館
2016年8月25日
ネパール国内において、今年7月上旬から76例のツツガムシ病患者が確認され、8月中旬の段階で少なくとも2人の死亡例が報告されています。
ネパールでは、2004年にカトマンズ市内で初めてツツガムシ病と診断された患者が発生しました(パタン病院において頭痛と高熱症状のカトマンズ在住ネパール人)。
ツツガムシ病は、ダニを媒体として感染する病気で、診断や発見に特殊な検査が必要です。
「腸チフスtyphoid」の症例とよく似ているため誤診される可能性もあり、また、近年、ツツガムシ病患者の診断報告数及び死亡者数の報告も増えてきていることから、実際の患者数はもっと多く潜在していると考えられています。
現在、ネパールでは、西部及び南部での症例報告が多いようですが、カトマンズ市内でも例外ではありません。
肌を露出した状態で藪や草むらのなかに入らないよう十分注意にしてください。ツツガムシ病に対する予防接種はありません。
○なぜ注意しなければならないのか
・初期は、頭痛と高熱だけの症状であることが多く、当地で一般的な疾患である「腸チフス」や「インフルエンザ」と誤診されやすい。
・適切な抗生剤(doxycycline, minocycline, tetracyclineなど)によって、早期に治療開始しなければ死に至る確率が高い。
・腸チフスなどの治療に使用する一般の抗生剤ではツツガムシ病は治癒しないので、適切な初期治療の時期が生死を分ける可能性がある。
・確定診断のための検査は、特殊で高価であるため、医師が積極的に疑わない場合にはツツガムシ病の検査を行わないことが多い。(特に小さな医療機関)
・医療機関では、特に大腿部を露出してダニの刺し口をさがす必要があり、肌を露出することを躊躇することで診断が遅れてしまうことがある。
○高熱と頭痛といった症状が3日以上続くときには
・出来るだけ大手の医療機関を受診してください。
・主治医にツツガムシ病の検査を依頼してください。
○参考
ツツガムシ病についての日本語での詳細については、国立感染症研究所の以下のサイトを参考にしてください。
日本においてもツツガムシ病の診断が遅れて、死に至る症例が例年あります。
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k02_g1/k02_13/k02_13.html