2016.08.03
アメリカ フロリダ州におけるジカウイルス感染症の発生(妊娠中又は妊娠予定の方は可能な限り渡航をお控えください。)
1 フロリダ州における感染者の発生状況
(1)7月29日、スコット・フロリダ州知事は、同州のマイアミデート郡とブロワード郡において確認された4例のジカウイルス感染者が、同州内で蚊に刺されて感染した可能性が高いことを発表しました。
同州ではこれまでにもジカウイルス感染者が確認されていましたが、いずれの感染例も、流行地域である中南米等の渡航先で蚊に刺されて感染し、帰国後に発症したものでした(輸入症例)。今回、流行地域に渡航歴のない感染者が、7月19日にマイアミデート郡で1例、同21日にブロワード郡で1例、同27日に両郡でそれぞれ1例ずつの計4例(男性3名、女性1名)確認され、米国で初めての国内感染の発生となりました。フロリダ州保健局は、実態調査の結果、現時点ではマイアミ市北部の一区画で感染が発生していると考えられると結論づけています。同局によれば、現時点において、同区画内でジカウイルスに感染した蚊は確認されていないとのことですが、他の感染者がいないか、調査が継続されています。発生地域の地図等、最新情報は在マイアミ日本国総領事館のホームページをご参照下さい。(http://www.miami.us.emb-japan.go.jp/files/000178334.pdf)
(2)8月1日、スコット知事は、フロリダ州内においてさらに10例の現地感染によるジカウイルス感染が確認され、これまでに確認されていた4例と合わせて、計14例(男性12名、女性2名)となった旨発表しました。フロリダ州保健局によれば、現地感染は依然としてマイアミ市の狭い一区画のみで発生しているとのことです。今回新たに確認された10例のうち、6例は症状のない感染で、保健局による地域住民の戸別調査で確認されました。
(3)ジカウイルス感染症は感染しても症状がないか(不顕性感染)、症状が軽いため感染に気づきにくいことがあります。しかし、妊娠中にジカウイルスに感染すると、胎児に小頭症等の先天性障害を来すことがあることから、特に妊娠中又は妊娠を予定している方は、流行国・地域への渡航を可能な限り控えるなど、十分な注意が必要です。ついては、フロリダ州への渡航・滞在を予定している方、既に現地に滞在されている方は、在マイアミ総領事館から最新情報を入手するとともに、以下2を参考に、蚊に刺されないための対策を行ってください。
(4)なお、現在中南米を中心にジカウイルス感染症が発生・流行しており、感染症危険情報(http://www2.anzen.mofa.go.jp/kaian_search/pcinfectioninfolist.asp?pageno=1 )が発出されていますので、あわせてご参照ください。
2 ジカウイルス感染症について
(1)感染経路
ジカウイルスを持ったネッタイシマカやヒトスジシマカに刺されることで感染します。感染した人を蚊が刺すと、蚊の体内でウイルスが増殖し、その蚊に他の人が刺されると感染する可能性があります。また、母胎から胎児への感染、輸血や性交渉による感染リスクも指摘されています。
流行地域に滞在中は、症状の有無にかかわらず、性行為の際にコンドームを使用するか、性行為を控えるとともに、流行地域から帰国した男性は、症状の有無にかかわらず最低8週間、パートナーが妊婦の場合は妊娠期間中、性行為の際にコンドームを使用するか、性行為を控えるようにしてください。流行地域から帰国した女性は、最低8週間は妊娠を控えるようにしてください。性行為による感染は、男性から女性パートナーのみならず、女性から男性パートナーへの感染例も報告されています。
(2)症状
ジカウイルスに感染してから発症するまでの期間(潜伏期間)は2~12日であり、主に2~7日で、およそ2割の人に発症すると言われています。発症すると軽度の発熱、発疹、結膜炎、関節痛、筋肉痛、倦怠感、頭痛等の症状を呈しますが、一般的にデング熱やチクングニア熱より軽症と言われています。
(3)治療方法
現在、ジカウイルス感染症には有効やワクチンや特異的な治療法はなく、対症療法が行われます。ジカウイルス感染症が流行している地域で蚊に刺された後に発熱が続く、発疹が出るなど、ジカウイルス感染症を疑う症状が現れた場合には、医療機関を受診してください。
(4)予防
ジカウイルス感染症には有効なワクチンもなく、蚊に刺されないようにすることが唯一の予防方法です。流行地域への旅行を予定されている方は、次の点に十分注意の上、感染予防に努めてください。また、症状の有無にかかわらず、帰国後少なくとも2週間程度は忌避剤を使用し、蚊に刺されないための対策を行ってください。
●外出する際には長袖シャツ・長ズボンなどの着用により肌の露出を少なくし、肌の露出した部分や衣服に昆虫忌避剤(虫除けスプレー等)を2~3時間おきに塗布する。昆虫忌避剤は、ディート(DEET)やイカリジン等の有効成分のうちの1つを含むものを、商品毎の用法・用量や使用上の注意を守って適切に使用する。一般的に、有効成分の濃度が高いほど、蚊の吸血に対する効果が長く持続すると言われている。
●室内においても、電気蚊取り器、蚊取り線香や殺虫剤、蚊帳(かや)等を効果的に使用する。
●規則正しい生活と十分な睡眠、栄養をとることで抵抗力をつける。
●軽度の発熱や頭痛、関節痛や結膜炎、発疹等が現れた場合には、ジカウイルス感染症を疑って、直ちに専門医師の診断を受ける。
●蚊の繁殖を防ぐために、タイヤ、バケツ、おもちゃ、ペットの餌皿等を屋外放置しない、植木の水受け等には砂を入れるなどの対策をとる。
3 日本帰国時及び帰国後の対応(日本国内の検疫について)
すべての蚊がジカウイルスを保有しているわけではないので、蚊に刺されただけで過度に心配する必要はありませんが、心配な方や発熱等の症状のある方は、帰国時に空港の検疫所でご相談ください。また、帰国後に心配なことがある場合は、最寄りの保健所等にご相談ください。発熱などの症状がある場合には、医療機関を受診してください。
4 在留届及び「たびレジ」への登録のお願い
海外渡航前には万一に備え、家族や友人、職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。3か月以上滞在する方は、緊急事態に備え必ず在留届を提出してください(http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/todoke/zairyu/index.html )。
また、3か月未満の旅行や出張などの際には、海外滞在中も安全に関する情報を随時受けとれるよう、「たびレジ」に登録してください(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/# )。
(参考情報)
○感染症危険情報(外務省海外安全ホームページ)
http://www2.anzen.mofa.go.jp/kaian_search/pcinfectioninfolist.asp?pageno=1
○マイアミの医療事情(在外公館医務官情報)(マイアミの医療機関等を紹介)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/n_ame/miami.html
○ジカウイルス感染症について(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000109881.html
○ジカウイルス感染症とは(国立感染症研究所)
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/sa/zika.html
○米疾病管理予防センター(CDC)(英文)
http://www.cdc.gov/media/releases/2016/p0801-zika-travel-guidance.html
http://www.cdc.gov/zika/index.html
○世界保健機関(WHO)(英文)
http://www.who.int/emergencies/zika-virus/en/
(問い合わせ窓口)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903
(外務省関連課室連絡先)
○外務省領事局政策課(海外医療情報)
電話:(代表)03-3580-3311(内線)5367
(現地在外公館連絡先)
○在マイアミ日本国総領事館(フロリダ州を管轄)
住所:Brickell City Tower, 80 S.W. 8th Street, Suite 3200, Miami, Florida 33130
電話: (+1-305) 530-9090
FAX: (+1-305) 530-0950
ホームページ:http://www.miami.us.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html