2025.01.23
メキシコ|米国から国外へ退去処分となる非正規移民の急増と治安悪化の可能性に伴う注意喚起
先般、トランプ米大統領が発出した「南部国境における国家非常事態宣言」を受け、米と国境を接するメキシコ北部6州においては、今後、米側から国外へ退去処分となる非正規移民が急増する可能性があります。これに備えるため、既にバハ・カリフォルニア州ティファナ市は、「緊急事態宣言」を発出しております。
メキシコ政府は、冷静さを保つよう呼びかけ、これら非正規移民を人道的に受け入れることを表明していますが、今後の事態の推移によっては、米から国外へ退去処分となる非正規移民が急増し、受入れ能力を大幅に超過する可能性や、地元住民の反発、更にはこれら非正規移民を狙った組織犯罪が増加して治安が悪化する可能性が否定できません。
また、南部からメキシコを通過し米国を目指す移民も国境を越えることができず、米から国外へ退去処分となる非正規移民だけでなく、南部から米を目指す移民が国境付近の都市にとどまる可能性もあります。
その他にも、トランプ米大統領は、メキシコ国内の犯罪組織(カルテル)等をテロ組織に指定する大統領令に署名しています。テロ組織指定までに2週間の猶予があり、この間にメキシコ政府は、米との対話を模索する方針を明らかにしていますが、今後、メキシコ国内の情勢が変化する可能性があり、注視する必要があります。
つきましては、ティファナ市を含むアメリカ・メキシコ国境付近においては、今後の推移に注視すると共に、現地の治安情勢につき報道等で情報収集を行うなど、安全対策を行い、十分注意して行動して下さい。
南部国境における国家非常事態宣言
トランプ米大統領が発出した「南部国境における国家非常事態宣言」(A National Emergency at the Southern Border of the United States) は、アメリカ国内の非正規移民対策として適切であると判断した場合にメキシコ国境付近に軍隊を派遣することや、外国人の不法入国を阻止するため、全ての適切な措置をとること等を定めています。
1. 人員および資源の配備
国防長官または各軍事部門の長官は、国防長官が適切と判断する限り、準備役や州兵を含む部隊を南部国境の完全な管理を確保するために配備します。
2. 追加の物理的障壁の建設
国防長官および国土安全保障長官は、法に基づき、南部国境沿いに追加の物理的障壁を直ちに建設するよう指示されています。
3. 無人航空システム
国土安全保障省の活動を制限する連邦航空局および連邦通信委員会の規制を緩和することが検討されます。
4. 政策と戦略の見直し
国防長官および国土安全保障長官は、不法移民の流入を阻止するための行動を優先し、力の行使に関する方針が職員と軍隊の安全を優先することを保証します。
5. 以前の宣言の撤回
2021年1月20日の宣言(南部国境の非常事態の終了および資金の再配分)は、ここに撤回されます。
6. 報告義務
宣言の日から30日以内に、国防長官は大統領に進捗報告を行う必要があります。
90日以内に、国防長官および国土安全保障長官は、大統領に追加の行動についての提言を含む報告を提出します。
7. 一般条項
この宣言は、適用可能な法律に基づき実施され、予算の制約の範囲内で行われます。
また、この宣言は、法的権利や利益を創出するものではありません。
ティファナ市における緊急事態宣言の発出
バハ・カリフォルニア州ティファナ市が発出した「緊急事態宣言」(Declaratoria de Emergencia)は、アメリカから国外へ退去処分となる移民の急増に備え、公的物資支援、避難施設の拡充等の人道的支援の準備措置を定めています。
(問い合わせ先)
在メキシコ日本国大使館
住所:Paseo de la Reforma No. 243、 Torre Mapfre Piso 9、 Col. Cuauhtemoc、 C.P. 06500 Mexico、 Ciudad de Mexico.
Tel:+52(55)5211-0028(代表番号が不通の場合:+52(55)7100-3164)
Fax:+52(55)5207-7030
メール:ryojibu@me.mofa.go.jp