2021.11.25
ルクセンブルク ワクチン政策の強化について
19日、ルクセンブルク政府は、ベッテル首相及びレナート保健相による当国の新型コロナウイルス感染状況、ワクチン政策等についての会見を行いました。概要は以下のとおりです。
(概要)
●欧州の他の国々と同様に、ここ数週間で感染者数が増加しており、ルクセンブルクでも感染の第4波が来ている。
●現在、12歳以上の人口の76.6%がワクチン接種を終えている。
●今後、18歳以上の全ての人に接種時期等を踏まえて、ワクチンのブースター接種の案内が送られる。このブースター接種は任意であるが、政府は強く推奨している。
●近々、薬局でもワクチン接種ができるようになる見込みである。
(会見内容)
1 新型コロナウイルス感染状況
(1)欧州の他の国々と同様に、ここ数週間で感染者数が増加しており、ルクセンブルクでも感染の第4波が来ている。ただし、冬になると屋内での活動が増え、ウイルスの拡散が活発になるため、このような変化は驚くべきことではない。
(2)ワクチンを接種していない人の感染率は約2.5倍となっている。入院患者数もやや増加しており、現在、集中治療患者は9人である。重症患者のほとんどが予防接種を受けていない。
(3)EUレベルで比較すると、毎週の発症率に関して、当国はEUの平均を下回っている。これは、当国がマスク着用義務など、他のEU諸国が解除した措置を解除しなかったことや、引き続き多くのテストを実施していること、若年層のワクチン接種率も高い水準にあることによるものである。また、高齢者施設や介護施設の状況も落ち着いている。高齢者施設や介護施設では定期的に検査が行われており、3回目の接種も含めて高いレベルのワクチン接種が行われている。
(4)政府が引き続き注視しているのは、病院の状況である。集中治療患者数が増えれば、政府は新たな対策の実施を検討する可能性もある。現行法は12月18日までであるが、政府は、次の新型コロナ法の必要性に基づき、対策を実施するつもりである。
(5)「Covid Check」制度は上手く機能しており、引き続きしかるべく実施していく必要のある対策である。また、マスクが義務ではなくても着用するなどして、リスクの高い状況を制限することを呼びかける。政府は、状況を良好なレベルに保つことを目指しており、可能な限り厳しい措置を取らないことを望んでいる。
(6)連帯はすべての国民に関わるものである。特に入院における連帯は重要であり、感染状況の急激な悪化のために病院での治療が提供できないというようなことがあってはならない。
(7)現在、「コビッド・ホットライン(Covid Hotline)」(注:新型コロナに関する政府の電話相談窓口)はワクチン接種に関する多くの質問に対応しており、負担が大きくなっている。ホットラインでよく聞かれる質問は、ワクチンのブースター接種であるが、ブースター接種の案内は、郵便で自動的に届くので心配する必要はない。また、簡易検査は、感染が疑われる場合には依然として有効である。症状があり、感染が疑われる場合は、医師に相談し、医師から処方箋(ordonnance)を受け取り、無料でPCR検査を受けることができる。
2 ワクチン政策
(1)現在の感染状況が昨年と異なるのは、ワクチンのおかげであり、また、ワクチン接種が感染者や重症者の数に大きな影響を与えることが明らかである。
(2)ワクチンを接種しない人は公衆衛生や他人の健康を危険にさらすことになる。現在、12歳以上の人口の76.6%がワクチン接種を終えており、12歳以上の人口の81.4%が少なくとも1回のワクチンを接種している。新しい「Covid Check」制度が発表された前回の記者会見以降、多くの人がワクチンを接種したが、現在は減速している。60歳以上の人口の15%がまだワクチンを接種していないことについて、同年齢層の脆弱性が懸念される。
(3)ワクチン接種の可能性を広げるため、ルクセンブルク市では12月31日までワクチン接種と検査を受けられる場所を追加的に提供する。さらに、薬局でのワクチン接種を可能にする法案が提出された。来週には、ワクチン接種バスに代わり、ショッピングセンターに移動式のワクチン接種場所が配備される予定である。12月6日からは「ワクチン接種週間」が開催され、ショッピングセンターや自治体など、多くの人が集まる場所にてワクチンを接種できる。
(4)イスラエル等のいくつかの研究では、ブースター・ワクチン接種が感染のリスクを減少させることが確認されている。時間の経過とともにワクチンの効果が低下するため、65歳以上の方、ジョンソン&ジョンソン製ワクチンを接種した人、医療従事者を対象に「ブースター」ワクチンの接種を実施している。これらの人々は、最初にワクチンを接種した人々でもあり、優先的にブースター接種の対象となった。ブースター接種の案内を受け取った高齢者の65%がブースター・ワクチンを接種している。高齢者施設やケアハウスでは、入所者のブースターの接種率が高くなっている。ジョンソン&ジョンソン製ワクチンを接種した人で案内を受け取った人の42%がブースター接種を受けている。
(5)さらに、18歳以上のすべての人に、以下の条件でブースター接種の案内を送付を開始する。
・2回目のファイザー、モデルナ、アストラゼネカ製ワクチン接種から6か月後。
・ジョンソン&ジョンソン製ワクチンの接種の1か月後。
対象者には、ワクチン接種センター、クリニックまたは薬局でのワクチン接種の案内が届く。このブースター接種の案内には有効期限はない。なお、ブースター接種は強く推奨されているが、任意であることに変わりはない。
3 質疑応答
(1)(記者)ブースター接種について、ワクチン数は足りているのか。ブースターワクチンを受けていない人でも、「Covid Check」制度で有効であるとみなされるのか。
(保健相)十分なワクチンがある。国によって違うので保証はできないが、ルクセンブルク国内では引き続き有効である。
(首相)国内の措置は、多くの国が一方的に決めているが、当国は、可能な限り近隣諸国と足並みを揃えることを目指している。
(2)(記者)一部の分野においてワクチン接種を義務化する予定はあるか。
(保健相)他に利用可能な選択肢がある限り、そのような計画はない。
(3)(記者)政府は、「marche blanche」と呼ばれるデモ(注:ワクチン接種に反対する人々が白い服装を着て行進するデモ)の参加者など、ワクチンを接種していない人々にどのように対応したいと考えているか。
(保健相)我々は、まだワクチンを躊躇している人たちに寄り添うために、ターゲットを絞ってワクチン接種に関する情報提供・啓発キャンペーンを引き続き実施していく。
(4)(記者)完全にワクチンを接種していても、なぜ入院することになるのか。
(保健相)ワクチンを接種していない人が入院する割合は、ワクチンを接種している人の割合よりもはるかに高い。ワクチンを接種した人が入院する場合は、他の医学的要因もあるし、高齢で脆弱である可能性も高い。
(5)(記者)最後のワクチン接種からブースター接種まで6か月以上の期間を空けるというのは、長すぎないのか。
(保健相)6ヶ月という期間はEMA(欧州医薬品庁)が定めたものであり、政府もこれに従っている。
(6)(記者)「Covid Check」証明書の偽造は何件あったのか。
(首相)ワクチン接種証明書の偽造に関しては、ミッキーマウス、スポンジ・ボブ、アドルフ・ヒトラーという3つの名前の偽造が多く、ワクチン接種制度をあざ笑い、挑発するものである。警察はこれらの事件を捜査する予定である。
(保健相)約12件の被害が報告されている。
(7)(記者)「Covid Check」証明書はどのようにして偽造されるのか。
(保健相)システムに記載されるデータは医師によって入力されるので、情報の改ざんはデータを間違って入力した医師の職業義務上の問題となる。
(首相)現在、ルクセンブルクで最も頻繁に使用されている名前の偽造について捜査しているが、これらが海外で再び使用されないという保証はない。
(8)(記者)感染状況が悪化した場合、どのような対策が考えられるか。ワクチンを接種していない人たちを隔離する計画はあるのか。
(保健相)引き続き状況を見守っていくが、もし、状況が悪化した場合でも他国の措置をそのまま適用することはない。極端な対策をとることが我々の目的ではないし、そのような事態にならないことを願っている。
(9)(記者)ジョンソン&ジョンソン製ワクチン接種についても、6ヶ月後にはmRNAワクチンのブースター接種を行うことになるのか。
(保健相)これについて決定するのはまだ早い。
(10)(記者)政府はワクチン接種証明書に抗体値を加えることを検討しているのか。
(保健相)他の欧州諸国では行われていないので、可能性は低い。
ルクセンブルク在留邦人の皆さま及びご旅行中の皆さまにおかれましては、今後も政府発表や報道、下記サイト等を通じて最新情報の収集に努めてください。
■ルクセンブルク保健省(新型コロナウイルスに係る最新情報)
http://sante.public.lu/fr/prevention/coronavirus-00/index.html
■在ルクセンブルク日本国大使館新型コロナウイルス関連情報サイト
https://www.lu.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_00017.html
(ご連絡先)
在ルクセンブルク日本国大使館
TEL:(+352) 46 41 51-1
e-mail:consulate.embjapan@lx.mofa.go.jp
URL:https://www.lu.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html