2021.02.25
アイルランド 行動制限措置レベル5の延長(~2021年4月5日)
2月23日、マーティン首相は演説を行い、感染を抑制しつつあるも英国変異株が感染の90%を占めるに至った新たな状況を受け、行動制限措置レベル5(最高レベル)を4月5日まで継続すること及びパンデミック対応計画の改訂版ができたことを発表しました。同首相は、レベル5を継続するにあたり、以下3点がこれまでとの重要な違いである旨述べています。
・段階的かつ安全に学校を再開する。イースター休暇後の全生徒の復帰を目指す。
・託児サービス、就学前プログラムを再開する。3月29日の完全再開を目指す。
・新型コロナ以外の疾病にかかる医療及び社会的介護を今後数週間で再開する。
在留邦人及びアイルランド滞在中の邦人の皆様におかれては、最新情報の入手に努め、アイルランド政府が示すガイドラインに従って感染予防に万全を期すとともに、今後の行動制限措置及び入国制限にくれぐれもご注意ください。
1 今後起こる変化の概要
(1)学校、保育関連
●3月1日
・特別学校は収容能力の100%まで復帰
・初等教育レベルの最年少からの4学年、すなわち、年少(junior infant)、年長(senior infant)、1年生(1st Class)及び2年生(2nd Class)の学校復帰
・(中等教育の)最終学年の高校卒業試験学年生(Leaving Certificate classes)の学校復帰
●3月8日
・早期保育・教育計画(ECCE)の再開、ECCE年齢の子どもの学校復帰
●3月15日
・初等教育レベルの3、4、5及び6年生(3rd,4th,5th and 6th class at primary level)、中等教育レベルの5年生(5th year post-primary students)の学校復帰
●3月29日
・早期教育・保育の再開、学齢期の子どもに対するサービスの再開
●4月12日
・中等教育レベルの1~4年生(1st to 4th years post-primary)の学校復帰
(2)経済的措置
●以下の措置を6月30日まで延長。
・パンデミック失業手当(Pandemic Unemployment Payment)
・被雇用者給与補助スキーム(Employment Wage Subsidy Scheme)
・COVID-19増額疾病手当(COVID-19 Enhanced Illness Benefit)
・COVID規制補助スキーム(Covid Restriction Support Scheme)
・余剰人員退職手当に関する規定の停止(Suspension of redundancy provisions)
・法人諸税の軽減(Commercial rates waiver)
(3)計画どおり進めるために必要な行動
●新たな変異株の管理:学校及び保育の再開に当たり、注意深い監視が行われる。
●ウイルスのコントロール:件数を抑制することにより、多くの選択肢が得られる。
●ワクチン供給の確保:EUと協力中。
●入院件数の減少:保健システムや前線の職員へのプレッシャーを減少させねばならない。
2 行動制限措置のレベル5における公衆衛生上のリスクにより、通勤、教育、その他の必要不可避な目的の場合を除き、自宅にとどまることや、運動は自宅から5キロ以内で行うことが要請され、葬儀及び結婚式における少人数の場合を除き、いかなる集会も行ってはならない。
(1)学校、高等教育及び成人教育
●学校は、段階的に再開される(スケジュ-ルについては上記1(1)参照)。
●高等教育、継続教育及び成人教育は、主としてオンラインにとどまる。
(2)託児サ-ビス
●各サービスを時期をずらして再開する(スケジュールについては上記1(1)参照)。
●早期保育・教育計画(ECCE)の3月8日の再開は、プライマリー・スクールの現場での教育再開とおおむね合致しており、また、ECCE事業者が再開するための十分な準備の時間を提供するものである。
(3)建設、住居の賃貸
●下記の例外を除く建設案件は閉鎖される。
・COVID-19拡大予防及び抑制プロジェクトを含む必要不可欠な保健プロジェクト。
・公共住宅プロジェクト。
・重要な輸送インフラや公共インフラの改修、維持、建設。
・教育省が必要不可欠と指定する教育施設。
・事業者及び住宅の必要不可欠又は緊急の維持又は改修サービスの提供。
・輸出及び海外直接投資分野における特定の大規模建設プロジェクト。
・ほぼ完成し1月31日までに入居予定の個人住宅については、作業を継続のこと。
●現行の賃借権保護の措置によって、自宅から5キロ以内の移動制限期間中、賃借人は住宅から立ち退かされてはならない。
(4)小売店及びサービス(例:ヘアドレッサー、美容関連サービス、理容店)
●顔を覆う用品を着用のこと。
●あらゆる小売店は、必要不可欠な業態(下記リスト参照)を除き閉鎖。
●必要不可欠でないサービス(下記リスト参照)は、引き続き閉鎖。
●ネット注文し、必要不可欠でない小売店で受け取るサービスは直ちに中止。発注済みのものは受取可。ネット注文し、配達するサービスは引き続き認められる。
●必要不可欠な小売店リスト(レベル5)
・テイクアウトの食事及び飲料の販売店、新聞販売店。卸売店含む。
・食料品店
・住居やビジネスの維持に不可欠な用品の販売店。卸売店含む。
・薬局。卸売店含む。・健康用品、医療品、整形外科用品の販売店。卸売店含む。・燃料販売店
・動物用品店
・洗濯、クリーニング店
・銀行、郵便局、クレジットユニオン
・安全用品(作業衣、靴、防護用品(PPE)含む)販売店。卸売店含む。
・ホームセンター(Hardware outlet)、建材店、農具店。卸売店含む。
・機械力で推進する乗り物及び自転車の修理・維持を行う店(タイヤ販売・修理含む)
・非常の場合、企業及び在宅勤務者へのサービス(小売、卸売)として、事務用品、電気製品、情報通信技術、電話の販売・修理を行う店・オンライン又は他のリモー
・システムで注文し、配達で商品を引き取る形態の小売店
・眼鏡店、検眼士(顧客が商品を見るだけの用途に小売り部分を使うことはできない。)
・聴力検査を行い、補聴器を販売・保守する店舗
●必要不可欠なサービスのリスト(レベル5)
・農業、園芸、林業、漁業、動物の福祉及び関連サービス
・製造業(食料、飲料、飼料、作業衣、PPE,靴、木材パルプ、紙、板紙等)
・機械・設備の供給、修理及び設置(機械力で推進する乗り物、工業用機械・設備等)
・電気、ガス、水道、下水及び廃棄物管理
・建設及び開発(上記(3)に記載されたもの)
・卸売及び小売(前項の必要不可欠な小売店リスト参照)
・輸送、倉庫
・宿泊及び食事の提供(社交や観光に関連しない必要不可欠なサービスのための宿泊、結婚式等)
・情報通信(新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、電子通信サービス、ネット等)
・金融及び法律(保険、銀行サービス(郵便局、クレジットユニオン含む)、会計、監査、弁護士)
・プロフェッショナル、科学及び技術(エンジニアリング、技術検査、分析等)
・レンタル及びリース(不動産の賃貸・管理、機械力で推進する乗り物及び自転車のレンタル及びリース)
経営及び支援活動(給与台帳、給与支払、就職斡旋、人事サービス、データ処理等)
・行政、緊急サービス、国防(警察、公共の秩序、消防、沿岸警備、救急車、国防軍等)
・保健及び社会福祉(病院、治療、COVID-19接触者追跡・検査、薬局、初期診療等)
・教育(学校、高等教育、成人教育)
・コミュニティー・サービス及びボランティア・サービス
・外交使節団及び領事業務
(5)社会的集まり及び家族の集まり
●個人の家や庭への訪問は認められない。ただし、子ども、高齢者又は脆弱な者の世話といった必要不可欠な家族の理由による訪問及び「拡大された世帯(バブル)」(注)の一員としての訪問は除く。
(注)社会的に孤立するリスクがある人々やメンタル面で不健康な人々を支援する目的で、特定のカテゴリーの個人のための「拡大された世帯(バブル)」を形成し、この個人が他の1世帯を指名して、指名した世帯と交流することを許す例外措置。「バブル」ないし「サポート・バブル」と呼ばれる。
●個人の家や庭以外の場所において、社会的集まりや家族の集まりは開催されてはならない。
(6)結婚式
●招待客6人まで認められる。
(7)組織的な屋内集会(管理された環境で、指名されたイベント組織者、施設所有者又はマネージャーがいるもの。例えば、ビジネス、トレーニング・イベント、会議、劇場及び映画館内のイベント、又は、その他の芸術イベント(スポーツ除く)。)
●開催不可。
(8)組織的な屋外集会(管理された環境で、指名されたイベント組織者、施設所有者又はマネージャーがいるもの。例えば、屋外の芸術イベント、トレーニング・イベント。)
●開催不可。
(9)エクササイズ及びスポーツ・イベント
●トレーニング
・屋外であれば、エクササイズ中、他の1家族と会うことができる。
・子どもが参加するものも含め、屋内外のエクササイズ・グループの活動は不可。
・屋外のゴルフ及びテニスは不可。
・個人的トレーニングのみ可。エクササイズ教室やダンス教室は不可。
・プロ級・エリート級のスポーツを除き、「個人的トレーニング」を含む屋内外の集会は不可。
●試合及びイベント・プロ級・エリート級のスポーツ、競馬、ドッグ・レース及び承認された馬術イベントは、無観客で継続可。上記以外の試合やイベントは不可。
●ジム、レジャーセンター及びプール
・閉鎖
(10)礼拝
●オンラインで行う。
●祈りの場所は、個人的な祈りのためにのみ開けておく。
(11)葬儀
●10人までの家族の参列が認められる。
●葬儀中の警戒の緩みや悪天時の密集が懸念される。
(12)博物館・美術館、ギャラリー、その他文化アトラクション
●すべての施設を閉鎖。オンライン・サービスは可。
(13)バー、カフェ及びレストラン(ホテルのレストラン及びバーを含む)
●テイクアウト及び配達のみ。
(14)食事を提供しないパブ、ナイトクラブ、ディスコ及びカジノ
●閉鎖。
(15)ホテル及び宿泊
●社交や観光ではない、必要不可欠な目的に限り営業可。
(16)仕事
●保健、社会的介護等の必要不可欠なサービスであり、在宅で行うことのできない仕事でない限り、在宅勤務を行うべきである。
(17)移動の制限
●仕事、教育又は他の必要不可欠な目的のための移動を除き、自宅に留まる。運動は、自宅から5キロ以内で認められる。
●移動できるのは、以下の理由とする。
・必要不可欠なサービス(上記(4)のリスト参照)の提供を含む仕事のための通勤
・教師、特別支援アシスタント(SNA)、その他の学校職員がリモート学習の促進のために行う学校への通勤
・通院及び薬剤その他の健康用品の受取り
・障害者向けデイサービス
・裁判への参加
・子ども、高齢者、脆弱な者、特に一人暮らしであるが親族訪問を受けていない者の世話といった必要不可欠な家族の理由によるもの
・食料品の購入
・農業目的(食料生産、家畜の世話)
・結婚式又は葬儀
・墓参
●国際渡航については次のウェブサイトを参照のこと。
https://www.gov.ie/en/publication/b4020-travelling-to-ireland-during-the-covid-19-pandemic/
(当館注:2月5日付の領事メール(下のURL参照)のとおり、変異株の懸念国としてブラジル及び南アフリカが指定され、懸念国以外からの渡航者は、入国の5日後以降のPCR検査で「陰性/検出されず」の結果を受けた場合は隔離を終了してよいが、懸念国からの渡航者は14日間の隔離を全うする必要がある等、より厳しい水際対策が取られている。2月12日、次の18か国が懸念国に追加された。アンゴラ、オーストリア、ボツワナ、ブルンジ、カーボベルデ、コンゴ民主共和国、エスワティニ、レソト、マラウイ、モーリシャス、モザンビーク、ナミビア、ルワンダ、セーシェル、アラブ首長国連邦、タンザニア、ザンビア、ジンバブエ)
https://www.ie.emb-japan.go.jp/files/100146407.pdf
(18)屋外の遊び場
●防護措置を講じた上で、開けておく。
(19)公共交通機関の利用
●顔を覆う用品を着用のこと。
●可能な限り徒歩又は自転車を使う。
●必要不可欠なサービスを提供する働き手及び必要不可欠な目的の場合を除き、利用を避けること。
●公共交通機関は、乗車人数を25%に減らす。
(20)70歳以上の者及び医学的に脆弱な個人について
●他者との関わりや自宅外での活動の程度に関し、個人的な判断を行うこと。
(21)長期居住型ケア施設(ナーシング・ホーム及びケア・ホーム)への訪問
●危篤の場合や特別な配慮を要する場合を除き停止。
3 今回の発表内容の詳細は、次の政府ウェブサイトからご参照下さい。
※2月23日付政府プレスリリース
https://www.gov.ie/en/press-release/c80ef-current-public-health-restrictions-to-continue-until-5th-april/
※新たなパンデミック対応計画と現行の行動制限措置レベル5の概要説明
https://www.gov.ie/en/publication/c4876-covid-19-resilience-and-recovery-2021-the-path-ahead/
※現行の行動制限措置レベル5の詳細説明
https://www.gov.ie/en/publication/2dc71-level-5/#your-guide-to-the-upcoming-changes
※パンデミック対応計画の改訂版「COVID-19 Resilience & Recovery 2021-The Path Ahead」の本文
https://assets.gov.ie/124440/a3fa7c2b-9ee4-492a-b0c0-ed3374fb1729.pdf
4 政府は、2月24日時点の新型コロナウイルス感染所の累計症例数を216,870件、累積死亡者数を4,237名と発表しました。
5 新型コロナウイルスの最新情報は下記に掲載されています。
<当館のウェブサイト>
https://www.ie.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_00004.html
<保健サービス委員会(HSE)の新型コロナウイルス関連情報ポータルサイト>
https://www2.hse.ie/coronavirus/?source=banner-www
<政府の新型コロナウイルス関連情報ポータルサイト>
https://www.gov.ie/en/campaigns/c36c85-covid-19-coronavirus/
6 新型コロナウイルスに関連する風評被害を受けた場合、また、新型コロナウイルス感染症に感染と診断されるなどの場合には、下記代表電話にご連絡ください。
在アイルランド日本国大使館
住所:Nutley Building, Merrion Centre, Nutley Lane, Dublin 4, D04 RP73
電話番号(代表):01-202-8300
E-mail(領事班):consular@ir.mofa.go.jp